2024/07/10 21:44

  9時半、ホテルをチェックアウト。函館行きのフェリー乗り場まで歩いて行きます、とフロントの係員に話すと、30分以上はかかります、と言われる。青森駅のすぐ傍だと思ってましたが、と言うと、フェリー乗り場は2か所ありますがどちらも駅から離れていますので(ホテルの前に駐車している)タクシーでどうぞ、とハッキリ言われた。タクシーに乗りこみ<津軽海峡フェリー>乗り場の行先を告げると、歩くのは大変ですよ、と同じことを言われた。10分でフェリーターミナルに到着。乗車券売場にある自動発券機で予約してあった番号を入力してチケットをゲットして乗船、指定されたビューシートに腰かけ出航を待つ。
  10時30分、旅客定員数 583名 の「ブルードルフィン」号で函館に向かう。所要時間は3時間40分、国鉄時代の青函連絡船は確か3時間50分だった。陸奥湾はもちろんのこと津軽海峡も穏やかで、Spotify でセレクトした「津軽平野・リンゴ追分・津軽海峡冬景色・函館の女」をK子さんと片耳にイヤフォンを差して聴いたり、弘前で買った文庫本を読んで過ごす。船旅はサイコー!

  14時10分、定刻に函館のフェリーターミナルに到着するが、はて、思っていた函館駅近くの桟橋ではない。かつての青函連絡船は青森駅に着いた旅客は誰も無口で急ぎ足となり、貨車はオンレールで船内に積み込むため駅と直結し、函館駅もその逆で直結しており、今もずっとそのままだと思い込んでいたのは私だけだった。
  連絡バスで函館駅まで15分、ここも青森駅同様すっかり様変わりしている。駅前から松風町電停を通り過ぎて5分のホテルにチェックイン。12Fの部屋はベランダから右手に函館山のふもとが、眼下に大森海岸と湯の川温泉、函館空港に続く道路が見下ろせる。夕食を隣家の1班Ayaさんから教えていただいた<活魚料理店>に予約を入れ、ゆっくりする。

  17時、函館市電で最寄りの「中央病院前」で下車。すぐ目の前の<活魚料理 いか清>で "真イカ刺/イカゲソ天/イカの塩辛" を肴に "サッポロクラシック" で乾杯! 子どもたちがまだオムツをしている頃「さっぽろ雪まつり」を見る前に雪の函館を訪れたこと、格安の旅行プ ランで冬の函館に富山からプロペラ機で訪れたこと、東京勤務の出張帰りに上司と同僚の三人でタラバ蟹を買い込み連絡船で食べたことなど次から次と思い出してK子さんと話が弾む。
  食事を済ませ外に出るとまだ日の暮れまで時間があるので、函館山ロープウェイの近くまで市電で移動。電停から乗り場まで一気に坂を登ることを忘れていた。函館山は外国人旅行者で溢れ、暮れ行く空と眼下の函館の夜景が旅行者の頭と上に伸びた自撮り棒で遮られてい る。オーバー・ツーリズムってこういうことなんだ。展望台の反対側の津軽海峡の夜景とイカ釣り船の灯りが美しい。
  21時前にホテルに戻り、ホテル内にある<大森温泉>でのんびりと汗を流す。部屋で『教科書名短編 家族の時間』(中公文庫)を読了。五木寛之、向田邦子さんの短編もさることながら、初めて読んだ私小説に涙が出る。